厚生年金保険の天引き額
こんにちは。
会社員が、給与や賞与から天引きされる項目について、その額がどのように決められているのかまとめています。前回は、介護保険の天引き額がどのように決められているのか、をまとめました。今回は、厚生年金保険の保険料の天引き額がどのように決められているのか、まとめます。
給与に対する厚生年金保険料額の決め方
給与に対する厚生年金保険料の決め方は、保険料率と会社と会社員の負担率を除いて、健康保険料や介護保険料の決め方と全く同じです。
Step1
4月から6月の給与の平均から報酬月額を求めます。
- 報酬とは、労働の対象として支給されるもの(基本給、時間外手当、など)と、定期的に受け取るもので通常の生計に当てられるもの(家族手当、住宅手当、通勤交通費、など)です。
- 出張旅費は、定期的に受け取るものではないため、報酬には含めません。
- 持株会の奨励金は、通常の生計に当てられるものではないため、報酬には含めません。
- 報酬に通勤交通費が含まれるため、遠方から通勤している等の理由で通勤交通費が高い人は、その分、健康保険料も高くなります。
Step2
保険料額表を参照して、報酬月額を計算しやすい単位で区分した標準報酬月額を求め、標準報酬月額に保険料率を掛けて給与からの保険料を決めます。保険料は、会社と会社員の両者が半分ずつ負担(折半)します。
- 会社と会社員の負担割合は、半分ずつ(折半)です。
- 具体的な保険料率は、日本年金機構のホームページ(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/ryogaku/ryogakuhyo/index.html)で確認できます。
Step3
Step2で決めた額を、9月から翌年8月まで適用します。納付は、翌月になります。
- 年間(9月から翌年8月)の厚生年金保険料を4月から6月の給与平均で決めるため、4月から6月に残業が多いなどの理由で給与が高かった場合は、年間(9月分から翌年8月分)の厚生年金保険料が高くなります。
- 昇給や降給で標準報酬月額に2等級以上の差が生じたときは、4か月目の標準報酬月額が改定されます。
- 育児休業終了時も、改定が行われます。
- 定年再雇用時は、「同日得喪」の手続きをすることにより、定年再雇用が行われた月分の保険料から標準報酬月額が改定されます。
賞与(ボーナス)に対する厚生年金保険料の決め方
賞与に対する厚生年金保険料の決め方は、保険料率と会社と会社員との負担率を除いて、健康保険料や介護保険料の決め方と全く同じです。
Step1
賞与(ボーナス)の1000円未満の端数を切り捨てて標準賞与額を求めます。
標準賞与には、奨励金は含めません。
Step2
標準賞与額に保険料率を掛けて賞与からの保険料を決めます。保険料は、会社と会社員の双方が半分ずつ負担(折半)します。
- 会社と会社員の負担割合は、半分ずつ(折半)です。
- 具体的な保険料率は、日本年金機構のホームページ(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/ryogaku/ryogakuhyo/index.html)で確認できます。
ポイントまとめ
- 毎月の給与に対する厚生年金保険料は4月から6月の平均給与で決めた額を9月から翌年8月まで適用するのですが、賞与(ボーナス)に対する厚生年金保険料はその時の賞与額で決まります。
- 厚生年金保険料は、会社と会社員の双方が半分ずつ負担(折半)します。
- 保険料率は、日本年金機構のホームページで確認することができます。
注意事項
繰り返しになりますが、厚生年金保険の保険料率は変更されることがあります。天引き額を計算するときは、必ず、日本年金機構のホームページを見てください。