確定拠出年金の税制面のメリット
こんにちは。
以前、DC(企業型確定拠出年金)の特徴や、DC(企業型確定拠出年金)の運用についてまとめました。今回は、DC(企業型確定拠出年金)の税制面のメリットについてまとめます。
ネットなどで調べると、DC(企業型確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の税制面のメリットとして、3点あげられています。
① 掛金が非課税
② 運用益が非課税
③ 受取時に税軽減
ですが、例えば、DC(企業型確定拠出年金)の掛金ってそもそも払ってないんだけど、とか、運用益が非課税なのになんで受取時に税金がかかるんだ、などの疑問が湧いてきます。このあたりのことについて、整理します。
掛金拠出時の税制優遇
DC(企業型確定拠出年金)は会社が掛け金を拠出するので、会社員からみると税金はかかりません。
ですが、DC(企業型確定拠出年金)のマッチング拠出やiDeCo(個人型確定拠出年金)の場合は自分の収入から拠出するので、申告しなければ課税されます。年末調整で、“小規模企業共済等掛金控除”として申告すれば、所得控除されます。所得控除なので非課税になるわけではありません。拠出した額に対して、所得税(一般的な会社員なら10%から20%程度、所得によります)と住民税の税率(10%)分だけ税金が下がります。
運用時の税制優遇
株や投資信託を運用しても含み益に課税されることは無いので、確定拠出年金が有利なわけではありません。違いが出るのは、リバランスや投資方針の変更などで、運用していた資産を預替え(スイッチング)するときです。
DC(企業型確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)は、運用していた資産額をそのまま別の投資商品にスイッチングできます。ですが、一般的な投資信託で運用している資産を預替えする場合は、一旦現金にして別の商品を買うので、現金にした時点で課税されます。つみたてNISAは非課税なので額が減ることはありませんが、その分の非課税枠が減ります。
受取時の税制優遇
株や投資信託を売却すると、譲渡所得として課税されます。
譲渡所得=総収入金額-(取得費+譲渡費用+負債の利子)
譲渡所得は分離課税で、税率は、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%、計20.315%です。
DC(企業型確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)は、一時金として受取る場合は退職所得、年金として受取る場合は雑所得として課税されます。
年金として受取る場合
年金として受取る場合は、雑所得として課税されます。
雑所得=収入金額-公的年金等控除額
雑所得は総合課税なので、他の所得と合算して税率が決まります。
一時金として受取る場合
一時金として受取る場合は、退職所得として課税されます。
退職所得=(収入金額-退職所得控除)÷2
退職所得は分離課税なので、DB(確定給付企業年金)など、その他の退職所得と合算して、税率が決まります。
実際に運用する会社員から見ると、DC(企業型確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)による運用も、一般的な投資信託やNISAによる運用も、どちらも投資商品の運用であり同じように感じます。ですが、DC(企業型確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)は年金なので、税制面で違いがあるのだと思います。