ゆるく気長に投資生活

投資信託をコアに、ゆるく気長に資産形成を目指すブログ

信託報酬と評価額との関係

 投資資金を国内株式や先進国債券などにどのような割合で投資するかがアセットアロケーション(資産配分)です。アセットアロケーションを決めた後、国内株式や先進国債券などの資産を具体的にどのファンド(金融商品)に投資するかがポートフォリオです。

 ポートフォリオを組む際、私は、以下の3点を基準として考えます。

  • 純資産総額が 50億円以上あること
  • 買付手数料が 0(ノーロード)であること
  • 信託報酬が 0.2% 以下であること、信託報酬は安ければ安いほど良い

 ここで悩ましいのが信託報酬です。ネット証券ならば上記条件をほぼ満足するファンドを選べますが、信託報酬の値下げ競争で、いったん決めたファンドが最安でなくなったりします。また、企業型確定拠出年金の場合は、そもそも 0.2% 以下のファンドが候補になかったりします。

 そこで、信託報酬の違いが評価額にどれくらい影響するのか、試算してみました。

 

 試算した条件を示します。

 仮に信託報酬が不要だったとしたら、基準価額が毎年 5% 上昇したとします。

 これに対して、信託報酬が 0.1% の場合は、信託報酬として毎年 0.1% を持っていかれるので、基準価額の上昇は 5% - 0.1% = 4.9% になります。

 また、信託報酬が 0.3% の場合は、信託報酬として毎年 0.3% を持っていかれるので、基準価額の上昇は 5% - 0.3% = 4.7% になります。

 同様に、信託報酬が 0.5% の場合は、信託報酬として毎年 0.5% を持っていかれるので、基準価額の上昇は 5% - 0.5% = 4.5% になります。

 この3つの基準価額に対して、毎年5万円ずつ 20年間、計100万円をつみたて投資した場合の評価額と、100万円を一括投資して20年間運用した場合の評価額を計算しました。

 

 最初に、3つの基準価額の動きをグラフで示します。

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 少しずつ差がついてき、20年目には信託報酬 0.1% と信託報酬 0.3% で 975 の差がつきました。信託報酬 0.1% と信託報酬 0.5% の 20年目の差は 1915 です。

 

 次に、毎年5万円ずつつみたて投資した場合の、購入口数を計算します。基準価額は 10000口の価額なので、1口当たりの価額は 基準価額÷10000 です。毎年の購入口数を積み立てていくと、下のグラフになります。

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 基準価額が上がるにつれて、1年あたりの購入口数は減っていきます。20年間の累計は、信託報酬 0.1% の場合 659221、信託報酬 0.3% の場合 669316、信託報酬 0.5% の場合 679665 になります。

 

 評価額は、各年の累計取得口数にその年の価額(基準価額は10000口の価額なので、1口当たりの価額は基準価額÷10000)を掛けて、下のグラフになります。

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 20年間つみたてた結果、信託報酬 0.1% の場合の評価額は ¥1,716,093、信託報酬 0.3% の場合の評価額は ¥1,677,123、信託報酬 0.5% の場合の評価額は ¥1,639,157 となりました。信託報酬 0.1% と信託報酬 0.3% の評価額の差は ¥38,970 です。信託報酬 0.1% と 0.5% の差は ¥76,936 で、1年間の積立額 5万円より大きな差がつくことがわかりました。

 

 最後に、100万円を一括で投資して、20年間運用した場合です。最初に一括で購入するので、購入口数は信託報酬にかかわらず 100万口です。したがって、評価額は、取得口数 100万口にその年の価額(基準価額は10000口の価額なので、1口当たりの価額は基準価額÷10000)を掛けて、下のグラフになります。

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 20年間運用した結果、信託報酬 0.1% の場合の評価額は ¥2,603,213、信託報酬 0.3% の場合の評価額は ¥2,505,726、信託報酬 0.5% の場合の評価額は ¥2,411,714 になりました。信託報酬 0.1% と信託報酬 0.3% の評価額の差は ¥97,487 です。信託報酬 0.1% と 0.5% の差は ¥191,499 で、最初に一括投資した100万円の2割近い差がつくことがわかりました。

 

 結論として、5年程度の短期の場合は信託報酬の差をそれほど気にする必要はないのですが、長期間ゆるく気長に運用する場合は、信託報酬の差を十分考量した方が良いということがわかりました。また、信託報酬が高いアクティブ型のファンドは、インデックス型(パッシブ型)のファンドに対してかなりより良い運用をしなければ、信託報酬の差を取り戻せないこともわかりました。

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