ふるさと納税の控除額の仕組み
所得税の仕組みと、住民税の仕組みを調べました。ここまで調べると、次は、ふるさと納税の仕組みが気になってきたので、調べてみました。
ふるさと納税とは
各地の自治体に寄付すると、寄付した額から2000円を差し引いた額が、その年の所得税や翌年の住民税から控除される(支払わなくてよくなる)制度です。
言い換えると、2000円払うことで、居住している自治体に収める税金を、好きな自治体に収めることができる制度です。寄付のお礼として特産品などをくれる自治体もあるので、2000円と手続きの手間以上の価値をお礼の品に感じるなら、お得な制度と言えます。
ただし、ふるさと納税で控除される額には上限があるので、その額を超えると、上限を超えた額+2000円が持ち出しとなります。
ふるさと納税の控除額の仕組み
ふるさと納税の控除額(税金が安くなる額)の内訳を、図に示します。
まず、ふるさと納税した額のうち、2000円は自己負担となります。ふるさと納税した額から、自己負担分2000円を差し引いた額が、控除される(税金が安くなる)額です。
控除額のうち”所得税の税率”分、その年の所得税が安くなります。”所得税の税率”は、ふるさと納税を行った人の課税所得(所得税の対象となる所得)に応じて変わります。
次に、控除額のうち”住民税の所得割額の率”分、翌年の住民税が安くなります。”住民税の所得割額の率”は、自治体によって異なるのですが、概ね、課税標準総所得(住民税の対象となる所得)の10%です。
住民税の所得割額の詳細は、こちらを参照してください。
最後に、ふるさと納税の特例で、控除額のうち残ったすべての分翌年の住民税が安くなります。ただし、この特例分の控除は上限があります。最大、住民税の所得割額の20%までです。したがって、ふるさと納税した額のうち自己負担分2000円を差し引いた残額をすべて控除してもらうには、住民税控除の特例分が、住民税の所得割額の20%を超えない額にしなければなりません。
ふるさと納税による控除のタイミング
ふるさと納税の控除がいつ行われるのか、図にしました。
ふるさと納税の単位は、1月1日~12月31日までです。令和2年1月1日~12月31日の間に行ったふるさと納税で控除を受けるには、令和3年の2月後半から3月前半の間に確定申告しなければなりません。
令和2年に行ったふるさと納税のうち、所得税からの控除の対象は、令和2年分の所得税です。所得税控除の還付金は、令和3年の確定申告の後1か月から2か月で振り込まれます。
令和2年に行ったふるさと納税のうち、住民税からの控除の対象も、令和2年分の所得です。そして、令和2年分の所得に基づく住民税は令和3年6月~令和4年5月なので、令和2年のふるさと納税の結果、令和3年6月~令和4年5月の住民税から控除されます。言い換えると、住民税を約1年前倒しで支払うことになります。
令和2年のふるさと納税額の目安
上記で明らかなように、令和2年のふるさと納税額が、自己負担金2000円を除いてすべて控除される上限額が決まるのは、令和3年の確定申告です。なので、令和2年にどれくらいの額をふるさと納税するかは、目安で決めるしかありません。ネットのふるさと納税のサイトに、全額控除(自己負担金2000円除く)できる上限額のシミュレーションが用意されています。
ワンストップ特例
これまで記してきたように、ふるさと納税で控除を受けるには、確定申告をすることが基本です。ですが、確定申告が不要な会社員(給与所得者)等のために、ワンストップ特例制度が設けられています。ワンストップ特例制度を活用した場合は、確定申告の場合に所得税から控除されていた額も、住民税から控除されるようになります。
まとめ
ふるさと納税のメリットとデメリットをまとめます。
メリット
・好きな自治体に寄付することができる
・寄付のお礼として、特産品などをくれる自治体もある
デメリット
・自己負担金2000円
・手続きにそれなりの手間がかかる
・住民税のうちふるさと納税する分は、約1年前倒しで支払うことになる(運用すれば得られた利益を失う)
住民税の前倒しをデメリットとして挙げましたが、退職などで収入が激減する事が予めわかっているなら、余裕があるうちに住民税の一部を前倒しで支払えるとも考えられます。