投資を始める日の違いによる基準価額の見え方の変化
同じ基準価額でも、いつ投資を始めたかによって、その見え方はかなり違ってきそうです。確認してみました。
- 損益を考えるとき、基準価額の絶対値は意味がなく、購入したときと売却するときの基準価額の比率で損益が決まる。
- 基準価額が高めの時に投資を始めると利益は出にくく、基準価額が底値の時に投資を始めると大きな利益が出る。
投資信託の評価額は
購入した口数 × (一口当たりの)基準価額
です。基準価額が下がっている時は多くの口数を購入でき、基準価額が上がっているときは少しの口数しか購入できません。つまり、投資の損益を考えるとき、基準価額の絶対値は意味がなく、購入した時の基準価額と売却するときの基準価額の比率で損益が決まります。
念のため、確認してみました。日本株式の基準価額のイメージデータを使って、2007年の基準価額が10000になるように0.853倍した基準価額と、2010年の基準価額が10000になるように1.346倍した基準価額を作りました。
下のグラフは、上記3つの基準価額に対して、毎年40万円づつつみたて投資した場合の購入口数です。基準価額が高いと購入口数は少なくなっており、基準価額が安いと購入口数は多くなっています。
最初のグラフの基準価額に、上のグラフの購入口数をかけて、評価額を計算しました。結果は、下のグラフに示す通り、すべての基準価額で同じ評価額となりました。2001年から2018年までの18年間で、1067万円です。
ここまでで、基準価額の絶対値に意味はなく、購入したときの基準価額と売却するときの基準価額の比率で損益が決まることが納得できました。
日本債券や先進国株式など、いくつかの資産に分散投資する場合、それぞれの基準価額がどう動いていたか気になります。ネットや本などで、過去の基準価額の動きを示すグラフを見ることができますが、実際に投資する場合は、投資を始めた日を起点に基準価額の動きを見ることになります。
そこで、2001年、2004年、2007年、...、と、投資を始めた時期をずらして、基準価額の動きがどう見えるか計算してみました。
2001年に投資を始めたとすると、2001年ごろのITバブル崩壊で株が当初の基準価額を下回り、ようやく順調に伸びだした時、2008年ごろのリーマンショックで再度突き落とされた感じです。2001年に一括投資した場合、私だったら耐え切れずに損しても売却していただろうな、と思います。ただ、ITバブルとリーマンショックを耐えきったなら、その後、大きく上昇しています。
2004年に投資を始めたとすると、最初順調に上がりますが、2008年のリーマンショックで大きく落ち込み、4~5年でようやく2004年の水準に戻っています。その後は、順調に伸びています。2004年に一括投資した場合、最初3年間はいい感じですが、その後、5年程度耐える必要があったということです。
2007年から投資を始めたとすると、日本債券以外の基準価額はすぐに当初の基準価額を大きく下回り、元の水準に戻るのに5年~6年かかっていることがわかります。2007年に一括で投資した場合は、5年~6年の間、投資金額の6割程度まで落ち込んだ状態で耐える必要があったということです。
2010年に投資を始めたとすると、株式はすぐに当初の基準価額を下回っていますが、そのあとはグングン伸びています。2010年に一括で投資した場合は、大きな含み益を得ることになります。
2013年に投資を始めたとすると、試算した4つの資産すべてで、当初の基準価額を下回ることなく伸びています。
このように、全く同じ基準価額でも、投資するタイミングによってかなり違って見えます。その結果、投資をはじめ日によって、2018年時点の評価額も大きく違ってきそうなことがわかりました。